自受法楽の境涯を求めて

　　
　　　（海浜公園　ツマジョロヒナギク）


　　「あなた！　こんな所に来て楽しむのも勿体ないような気もするわね・・・
　　　私達は・・年金生活者なんだから・・・」


　　「しかたがないだろう・・・
　　　家で・・大声出して楽しんでるわけには いかないんだから・・昼間っから・・・」


　　「子供や孫や お嫁さんも居てね・・・
　　　おじいちゃん と おばあちゃん　何やってんのか心配で・・・
　　　部屋に入ってきたら・・どうしよう・・・ウフフ・・」


　　「貴方ね　お友達は全員 ・・あっちの方は 忘れているって・・・
　　　１０年前までは 痛いのを我慢して 付き合っていた人が 何人かいたけど
　　　今は もう誰もいないようよ・・・

　　　もう少し若い時は　“あれさえなければ本当に良いんだけど” ・・
　　　と言っていた人達ばっかりだから・・・」


　　「性欲も煩悩の一つだから・・それに振り回されてしまったら・・
　　　不幸の原因に 立派になるからね・・・
　　　性欲は捨てて 食欲の方を求めた方がいいかもしれない」


　　「他に まだまだ沢山の欲望があるもの・・
　　　私達の五官である 眼 耳 鼻 舌 身 の五つの器官で認識する欲望だって
　　　沢山あるわよ・・・

　　　美しいものが見たい・・きれいな音楽を聴きたい・・良い香りをかぎたい・・
　　　美味しいものを食べたい・・心良いものに触りたい・・・とか無数にあるわよ・・・」


　　　
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