自受法楽の境涯を求めて

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　　　たくみの里


　　「あなた　小さい旅館を選んだの大当たりね・・・

　　　私達二人貸切だものね・・・とにかく　お料理すごかったわ

　　　みんな手間がかかっているのね。　ご主人からの説明も　いままで知らなかった調理法

　　　ね・・みんな美味しかったから何も残さないで食べてしまたわ　あとで　

　　　ご飯が食べられなかったわね」



　　「今まで　ツアーでは駄目だけど　ほら　高山の　もてなし最高の老舗　北斎が逗留

　　　してた旅館があったろう　あそこの料理にも負けないぐらいだね」


　　「息子さんが上野の精養軒で修行してきたんだって

　　　ビールも美味しくて・・飲み過ぎちゃったかな・・・

　　　朝までお腹が　張ってたもの・・・

　　　お風呂は美人風呂ではなかったけど・・お湯が透き通ってよかったわ」


　　「主人が大きいホテルは人数が多いからコシテいるけど　うちは個人の小さい

　　　とこですから・・・７０度の源泉かけ流しで熱いです　今日は他にお客がいませんので

　　　女湯に二人で入ってください　湯をシボッテおきますから・・・そう言ってたよ」



　　「朝も入ってきたし・・お湯が　なめこくって　あったまるのね」


　　「こんなに楽しかったのは　どうしてか解りますか・・・・？　

　　　もし二人が去年と同じ境涯だったら・・・多分こんなには楽しめなかったでしょうね

　　　紅葉は良く見られなかったし　安い旅館だから部屋も良くないし　露天風呂は工事中

　　　で近所の露天が四つもある大衆浴場に入りに行ったし　少しぐらい料理が良くても

　　　不平不満だったでしょうよ」


　　「また　難しい話が始まったけど・・・

　　　二人が　貧しい旅館でも楽しめるように成長したわけ？　」



　　「そう取ってくれれば・・　申し分ないけど・・・」



　　「良く考えてみれば・・そうかもしれないわね・・・

　　　どんな美味しいものでも二人が喧嘩をしてたんでは何の味もしないでしょうから

　　　ご主人と話したり　奥様と郷土の話をしたり　おみやげを貰ったり　楽しい交流

　　　が出来てはじめて　旅のの楽しさが生まれてくるのでしょうから・・・

　　　なんといっても　そこに旅した二人の人格の問題よね・・

　　　どれだけの思いやりがあるか　どれだけの希望があるか　感謝の気持ち

　　　がもてるか　・・・よね！　」



　　「随分はっきり言うんだね・・・」



　  

　　


　　


　　　今回の猿ヶ京温泉は　ホテルをよして　一番安い小さな旅館にしました。

　　　
　　　お目当ての赤谷湖の紅葉が　まだだったので・・・しばらく三国峠を登って行き

　　　トンネル近くで　やっと　素晴らしい紅葉に会えました。  

　　


　　


　　　沼田の原田農園に二人で行ってきた。

　　　お目当ての　名月　が　まだ蜜が入っていない様で　来月に入って　ふじ　と同じに

　　　なるそうだ。


　　「あなた！　先に食べてみようか・・・あそこの　小さ目のを取って・・・」


　　「陽光　だよ　・・そこで　むいてもらって・・・」


　　「わぁー　美味しい・・・とれたては・・すごいわね！・・・
　　　あなたも　半分食べてね」


　　「これは　甘酸っぱいんだね・・・
　　　向こうの　あかぎ　が甘い種類だと言っていたよ」


　　「あなた一かご２０００円だからね　山盛りに入れて下さいって　言ってたからね
　　　両方まぜて三つかご　あれば　いいから・・・たのむわよ」



　　  

　　


　　「それから・・あなた！　・・　宗教は好きな人がやればいいと言うのよ

　　　精神修養なんだから・・・て！　」



　　「今の宗教界をみれば、そう言われるのも当然かもしれないね

　　　仏教界だって葬式屋になってしまっているし　新興宗教の方も　道徳や釈尊の方便の

　　　教えの一部をもってきて自分流に作り直して　自ら仏になったつもりで　

　　　金もうけのためだろうか、・・教　・・会　などを作っている状態だから・・・

　　　我々市民は　本来の仏教の姿を　見間違ってしまうだろうね」



　　「日本には　もう仏教がないから・・・原点のインドに

　　　行くんだって　言っていた人がいたわね」


　　「その人も、現在すでに　日本に　釈尊の予言通りに　釈尊以上の末法の仏が

　　　出現して　インドに向かっているとは　気が付かないのかね」



　　「教典に書いてあるわよね　

　　　末法の衆生は　私の力では救うことが出来ないから　久遠の仏に出現

　　　してもらって　法華経の一番大事な　まだ明かしてない法を付属し

　　　末法弘通の一切を託されたのよね」

　　　


　　  

　　


　　「あなた　ひねくれ者がいてね・・・こういうのよ・・・

　　　山登りの際に　登り口がたくさんあったとしても　結局　同じ頂上に行きつけると同じに

　　　各宗教の教えが異なっていても、めざす目的地は同じであるから

　　　やはり　宗教は　どれも同じだというのよ」



　　「あきれた人だね　登り口を間違え　登り方を間違えたならば　同じ頂上を目指している

　　　つもりでも遭難してしまうし　遭難した道案内人についていた人たちも

　　　やはり　後を追って遭難してしまうでしょう。


　　　ことに　宗教　信仰は人生の根本に関わるものだし　幸　不幸を決定的に左右して

　　　いる重大問題だから　その選択を誤って　道理に反した教えを信じていたならば

　　　その人の人生には恐るべき不幸がまっているでしょう。


　　　論より証拠　禅宗　念仏宗　真言宗などの教祖　開祖といわれる人々は　本当に

　　　悲惨な最期をとげていますよ」



　　「そう言われればそうね　例を挙げればきりがないわね・・・

　　　これは間違った登り口から登山して　自ら遭難した案内人の姿ね

　　　こうした案内人についていく人も　やはり人生に遭難してしまうのね」
　  

　　
　　　白駒原生林の苔


　　「あなた　ほとんどのお友達が　宗教はどれも同じだ　と言うのよ

　　　それに　必要な人には必要だし　必要のない人には必要ない　と言うのよ」



　　「まったく無知この上ないんだな・・・

　　　世界中に　仏教　キリスト教　イスラム教はじめ無数の宗教　宗派があるけど・・・

　　　どれも異なる教義　異なる信仰対象をたてているよね。

　　　例えばキリスト教で信じ奉っているのは　万物創造の神であり

　　　キリスト教の教義によれば　我々人間は　神が土から造ったものである　

　　　と言うことになっている。

　　　しかし仏教では　造物神思想を否定し　仏を信ずべきことを教えています。


　　　仏とは　宇宙法界の真理を悟った人のことで・・・

　　　この仏の説く教えに従って修行すれば　誰でも仏になることができ　絶対の幸福境涯

　　　を得ることができると説いています。


　　　どの宗教も、説くところの教えや　信仰の対象　信仰の目的までもが異なっている

　　　でしょう。　　

　　　また　同じ仏教の中でも　たくさんの宗派があり　みんな同じではないんだね。

　　　たとえば現世は苦しいけど　なみあぶだぶつ　と唱えれば来世では救われる

　　　と説く浄土宗、座禅を組む自らが仏であると説く禅宗とは　まったく教えが異なっている

　　　のに・・・どうして　みな同じだと　いえるのかね」
　


　　

  

　　


　　「あなた！　まだナナカマドが早いようね・・・

　　　幾日かしたら　すごいわね・・・」



　　「東洋一の白樺林だというから・・・

　　　ハイキングコースになっているようだから・・・また来てみるかね」



　　


　　「ここも　石ころの山道に板を敷いてしまって・・・自然は　もう無くなってしまったね

　　　ロープをして　原生林の苔の中には　一歩も入れないし・・・」



　　「あなた　見て！　　すごい！　　真っ赤よ・・・

　　　でも　ドウダンツツジは盛りを過ぎたようね」


　　「子供からお年寄りまで登れるんだから・・・

　　　自然が無くなっても・・・良いとするかね・・・」



　　「以前は　みんな道路に車を置いたのよ・・・

　　　今日は５百円取ったんだから・・・随分になるわね・・・」


　　「トイレの費用が大変だろう・・・道にも随分石が入っているし」



　　  

　　


　　


　　「あなた！　　最近　何々聖人の教えから学ぶ　とか仏様の教えとか言って　仏教の本

　　　が出ているけど　これも佛の教えに反することなの」



　　「釈尊の方便の教えをカジッタ人が　自分の考えをプラスして　さも仏様の教えという

　　　風に振る舞っている姿は、大謗法の人だよ。

　　　日蓮大聖人は　立正安国論で、誤った宗教のために　思想が乱れ　国が乱れ

　　　災害が起こってくると喝破しておられますからね」



　　「これは大変だ・・・大きな問題ね・・・」

　　　  

　　


　　「あなた！　日本は仏教国でありながら仏教を知らないのね。

　　　お友達も　みな教養のある人よ　でも何にも知らないのよ」



　　「最近になって　世界の宗教の中で　仏教が見直されるようになってきたけど　宗派が

　　　多過ぎて　どれが本物の釈尊の教えなのか　皆目わからないでしょう」



　　「昔からある既成宗教だって　みな教義も違うし本尊も違うから　

　　　どれが正しい教えなのか　わからないわね」




　　「各宗派の教義が違うことさえ　関心がないかもしれない。　　仏の教えだから

　　　どの宗派でも構わない　と思っているかもしれない」



　　「どの宗派が釈尊の教えに逆らっているか　わからなければ駄目ね

　　　それから同じ釈尊の教えでも　最高の教えを説くための

　　　仮の教えだってあるわよね」



　　「そうー　　今流行っている般若心経は、釈尊出世の本懐である法華経を説く

　　　ための方便の教えであって　末法の現在にあっては　仏に逆らった

　　　悪い教えになってしまうんだよ」



　　「釈尊の弟子が編集した経典を全部理解している天台大師や日蓮大聖人の

　　　教えを持ってこなければ　みんな迷ってしまうわよ」

　　　
  

　　


　　「あなた！　　どこのお葬式に出ても　坊さんが変なお経をあげたり　手を振り回したり

　　　訳の分からない話をしているわね。前の方に座っている親戚の人達も　

　　　誰一人　お経を唱えている人は居ないわね」



　　「今は　どの宗派の僧侶も　自分の信徒に成仏のための仏道修行なんか　まったく教えて

　　　いないよね。　だから　お経を唱えられる人は一人もいないよ

　　　檀家の人達も　お寺の坊さんに　生き方や悩み事を相談に行く人も

　　　いなくなってしまったよ」



　　「私の実家は曹洞宗だけど　ご僧侶さんが　良く解らない　と言いながら

　　　お説教をしているわよ。

　　　何を拝んでいるんですか　と聞いたら　私にも良く解らない　と言っていましたよ」



　　「私たちの先祖はね　キリスト教弾圧のための檀家制度によって　その地域にある

　　　お寺に強制的に入れられてしまったんだね。

　　　そのお寺が今の役場の戸籍係をやったり　お葬式もやったわけね

　　　お寺は檀家に逃げられることもないし、葬式や法事などで　一定の収入が入ってくる

　　　から　自由気ままにやっていけたし　威張ってもいられたわけ。


　　　檀家の方といえば　旅に行くんでも　役場であるお寺の許可が必要だから・・・

　　　いつも頭が上がらないし　葬式代も　その家の財産に応じて高額を取られていた

　　　ようだね。　それに　いい加減な戒名を作っては高額を取っていたわけね」


　　「今は　信教の自由だから・・・そんなことをしていては檀家に

　　　抜けられてしまうでしょう」