自受法楽の境涯を求めて

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　　　塩原温泉郷の高台　源泉の湯けむり

　　「やまの宿・下藤屋の おもてなし も お料理 も最高だったけど・・・
　　　外に用意されている露天風呂が忘れられないわね」

　　「本館は　乳白色の硫黄泉の かけ流し になっているけど・・・
　　　露天風呂の方は　塩沢町の透明の温泉を入れているそうだ・・・
　　　だから夜の露天風呂のお湯が透き通っていて・・輝いていたんだよ」

　　「夜の露天風呂は　すてきだったわね・・・
　　　殿方と婦人の二部屋あったけど・・夜８時からは・・二人で入る貸切に
　　　なったのね・・・入ってから鍵をかけたでしょう・・・
　　　脱衣所を開けると　洗い場がなくて・・直ぐ薄暗い森の泉のような・・
　　　入り江のある石風呂・・・向こうはしは・・高い岩になっていてお湯が
　　　流れ落ちています・・・
　　　その辺から・・もみじの木の間から夜空が覗いています・・・
　　　お月様を思わせる証明が・・木々の葉をうす青黒く照らし・・岩からの湯は白く・・
　　　石と湯面にはキラキラ輝く星を演出してます・・・

　　　貴方に抱かれて足を延ばすと・・透き通った湯の中に・・・
　　　白い二本の足が・・・まるで魔法でもかかったかのように・・・
　　　ゆらゆらと動きだした・・・・」　

　　　
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　　「今日も沢山の作品を見せていただき ありがとうございました・・・
　　　夢のある楽しいものが多く・・生きる勇気を与えてくれます・・・
　　　来月また・・皆さんと元気でお会いできるのを楽しみにしております・・・

　　　それから一つお願いがあります・・・
　　　昨年 ”貴女の生きる目的は何ですか” と聞いた時に・・・
　　　”幸せになるため”　と答えた人は一人もいませんでした・・・
　　　今年はどうでしょう・・全員が ”幸せになるため” と答えています・・・
　　　一年間でこんなにも変わるものでしょうか・・・
　　　時代が早いというか・・びっくりしています・・・

　　　そこで今度お会いする時に・・
　　　ぜひお聞きしたいことがあります・・・
　　　それは ”何が幸福なのですか” ということです・・
　　　”幸せになりたい” は判りました・・・
　　　では その幸せというのは・・どういう事ですか・・お聞かせください・・・
　　　嬉しい回答を待っています・・・

　　「本日は・・本当にご苦労様でした・・・
　　　ありがとうございました・・・
　　　来月お会いできるまで・・・・ごきげんよう・・・・」

　　　
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　　「シャクヤク も ボタン に似て・・豪華ね・・・・よかった・・
　　　もみじ平 の近くに・・こんな良い処があったのね・・知らなかったわ・・・」

　　「先日 寄って見たら・・雨で花が・・水浸しだったので・・・
　　　今日の運動の時にと思ってさ・・・」

　　「ここを・・一番外側を回って一周すれば３キロぐらいあるかしら・・・
　　　お腹が凹んでくれるかな・・・
　　　八千草薫ぐらいになれれば・・いいんだけど・・・」

　　「えぇー・・あの きれいな女優さんかい・・・
　　　もう年になるだろうな・・・」

　　「８４才よ・・・私達より９才上よ・・・」

　　「あと９年経って・・あの人と同じぐらいでいられれば・・満点だけど・・・
　　　大変なことだよ・・・」　

　　「お腹の大きさを言っているのよ・・・」　

　　「二人は・・自受法楽 の境涯を目指しているわけだけど・・・
　　　外見は無理でも・・心は・・美しくなれるといいね・・・」

　　　
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　　「貴女は　友達の幸せを祈ってやれる人だから・・・
　　　多くの人から慕われるんだな・・・
　　　私も見習っていかなくては・・・」　

　　「それは貴方の買い被りよ・・・
　　　私には・・何もする 力 がないのよ・・・
　　　だから皆が 力 を貸してくれるのね・・きっと
　　　食べるものもそうでしょう・・”作ったから取に来ない”　・・て・・・
　　　ずいぶん電話もらうでしょう・・・
　　　本当に助かっているのよね・・・
　　　自分の体だって・・思うようにいかないのよ・・・
　　　他人の事まで世話をするのは無理なのよ・・・
　　　あっちが痛い・・こっちが痛いって・・グチの連続でしょう・・・」　

　　「じゃー　そういう事にしておこうか・・・
　　　自分は・・あまり努力しないで・・他人の協力を得て・・グチを言って・・
　　　それでは幸せではないはずだけど・・・」

　　「そんな事はないわよ・・最高の幸せよ・・・
　　　いろいろ不満はあるけど・・幸せなのよ・・・不思議ね・・・　

　　「普通は・・家庭が平和な時・・人との付き合いがうまくいっている時・・
　　　健康な時・・そして欲望が満たされた時などに・・・
　　　幸せを感じるけど・・・
　　　貴女の場合は・・不満とグチと不健康でも・・
　　　幸せを感じるんだね・・」

　　「そうよ・・苦しい時でも・・最高の幸せをつかんでいくわよ・・」

　　　
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　　「あなた！　暑いけど・・しっかり運動しましょう・・・
　　　足から老いてくと言うから・・・」　

　　「あらたまって・・なかなか一緒には歩けないから・・・
　　　用事のついでに何時でも運動しないとね・・・
　　　ちょっと寄り道していけばいいんだから・・・」

　　「貴方が　コウモリ をさしてくれて・・楽でいいわ・・・
　　　日陰で涼しいし・・腕は自然に組めるし・・ふらつき心配ないし・・・」

　　「いつも笑顔でいたいと誰しも願っているけど・・・
　　　現実は・・なかなか　そうはいかないでしょう・・・
　　　でも 貴女の場合は・・いつも笑顔で・・しかも美しい・・・
　　　困った困ったと言っておきながら・・ニコニコしているからな・・・・」

　　「馬鹿だからよ・・・
　　　私が一人で出かけている時は・・判らないわよ・・・
　　　何時でも いい顔はできないから・・・
　　　きと鬼のように成っているでしょう・・・」　

　　「散歩している時　すれ違いに 相手に声をかけて・・すぐ話すでしょう・・・
　　　相手もつられて・・返してくる・・・
　　　誰にでも・・ニコニコしながら話かけているでしょう・・・
　　　私にはできないけど・・・・」

　　「あぁー　それは 貴方が傍に居るからできるのよ・・・
　　　貴方がいない時の私の行動を見たないから・・
　　　そんな のんきな事いっていられるのよ・・・」

　　「たしかに 貴女が活動している処は見ていないけど・・・
　　　ボランテェアをしたり・・人に教えたり・・多くの仲間とお付き合いしたり・・・
　　　・・・全く その姿は見たことがないものな・・・
　　　自信がなくなってきた・・・やっぱり上州の鬼かね・・・
　　　いや・・・そんなはずはないでしょう・・・
　　　自分が苦しんでいる時でも・・他人に情けをかける時は・・
　　　笑顔になれるもんです・・・
　　　ましては　普段から人の為になろうとしている貴女ことだ・・・
　　　私の見えない処で・・どう振る舞っているか・・・明らかですよ・・・」

　　　
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　　「今日も　いい絵画を観られて・・よかった！・・・
　　　絵画は 写真では表現できないもを描くので・・いいわね・・・」

　　「写真は 瞬間を写し撮るし・・絵は 何か月もかけて
　　　・・創り出すものだからな・・・」　

　　「花が きれいね・・・・
　　　こんな気分になれるのは・・・
　　　・・きっと　大腸検査に異常が無くて・・安堵しているせいよ・・・」　　

　　「入院できなくて期待はずれだろうけど・・・
　　　原因は　やはり精神的なものと ストレス だと・・
　　　解ったので・・よかったね・・・」

　　「私も　入院は何処にするか・・考えていたのよ・・・
　　　何処のせいで具合が悪いのか・・また考えなければね・・・
　　　頭が悪いせいなのかね・・・」　

　　「どこか悪い処がないと・・気が済まないんだからね・・・
　　　それが貴女の 業 かもしれないよ・・・」

　　　
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　　「私はね　サル（畜生）に向かって・・高貴の方の名を・・呼び捨て にする
　　　のは・・日本人として恥ずかしいことだと思う・・・
　　　例えば　日本の皇太子紀雅子様 の次女が・・ご誕生になったとしよう・・・
　　　その名をサルに付けて・・呼び捨てに 怒鳴りますか・・・
　　　こんなこと・・あり得ないでしょう・・・」

　　「そうだなー・・・
　　　古来からの日本の礼儀作法 や美しい言葉使い は日本の文化
　　　だからな・・・
　　　今は　日本の文化を世界に胸を張って披露していく時期だし・・
　　　外国人が・・日本の文化を・・日本人以上に興味を示している時だね・・・
　　　その大事な時だからな・・・」

　　「イギリスの王室がどう思うではないのよ・・・
　　　あちらの人は・・一般的な名前だし・・気にしないと思う・・・・
　　　でも日本の礼儀として・・世界に向かって・・・
　　　一本筋を通したいのよ・・・」

　　「日本人の尊敬の念 敬いの心 おもてなしの心 ・・
　　　を大事にしていきたいね・・・」

　　　
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　　「骨波田の藤 は樹齢６００年よ・・・」

　　「６００年前というと・・１４１５年か・・・
　　　室町時代になるかね・・足利学校の時代だ・・・
　　　信じられないね・・・」

　　「時代が経つと・・房が長くなるのね・・・」

　　「藤 は長い年が経つと・・どっしりと風格できて・・・
　　　みごとな房 を付けるんだね・・・」

　　「藤 は女性の譬えなのよ・・・
　　　どんな大木の松 にでも・・寄り添って・・・
　　　高く登りつめていくものなのよ・・・
　　　あなた！　どこまで高く登りつめても・・大丈夫だからね・・・」

　　「残念でした・・・この松は・・大木 には期待できないね・・・」

　　　
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　　「展望台の あずま屋 で お弁当を食べよう・・・
　　　それから運動すれば・いいだろう・・・」　

　　「もう・そろそろ 口の麻酔も切れるでしょうから・・・いいわよ」　　

　　「あぁ・・大きい鳥だね・・・
　　　トンビがくるりと輪を描いた・・・だね」

　　「どこ どこ・・・ほんとー・・・
　　　五月の風 ね・・・見えなくなった・・・鳶 かな 鷹 かな？・・・」

　　「さつまいも は熱いから後にして・・先に 海老グラタン を食べて・・・
　　　僕は 肉焼き弁当 だけど・・・」

　　「ありがとう・・・
　　　美味しい・・・大丈夫・・・上手に食べられるわよ・・・」

　　「本当は・・同じものを食べた方が・・・
　　　もっと楽しいんだけどな・・・」

　　「どうして？　違った方が両方食べられて・・楽しいんじゃない？」

　　「あー　そういう事か・・・
　　　私はね・・一緒の物を食べた方が・・・
　　　話題が共通すると思ったんだよ・・・」

　　「それも大事ね・・・貴方は 話の内容を重視して・・・
　　私は 食べ物の量にこだわっているのね・・・」　

　　「あなた！　柏餅・・どっちがいい？」　

　　「青い葉 と 茶の葉 だね・・・」

　　「こしあん と つぶしあん よ・・・私は どちも好きだから・・・」

　　「江戸時代はね・・葉の裏表で小豆と 味噌を区別したらしいよ・・・
　　　参勤交代で全国に広まったらしいけど・・関西は柏がないので・・
　　　ちまき の葉を使ったそうだ」

　　　
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　　「今　電話したら来てくださいと言うから・・・
　　　これから　お医者に行ってきますね・・・」

　　「お腹の具合いが悪くて・・神経の薬を飲んでいるんだろう・・・」

　　「薬が効かないから・・今日は胃の検査をして・・あとで大腸の検査を
　　　どこか痛くない病院でやろうと思っているの・・・
　　　何時かは腹を決めないと・・・
　　　今日は　思い切って行ってきます・・・」

　　「終わったら・・電話くれ・・・草取りしているから・・・
　　　帰ったら・・すぐ フジ を見に行こう・・・
　　　お腹すいているから・・先に美味しい物たべて・・・」　

　　　
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