2011年09月26日

10代の時の思いで

  10代の時の思いで


   西の方に大きい雲が湧いては流れてくる。頂上の岩肌あたりを通りながら
   だんだん薄くなり消えて行く。


  「あなた、ここで遭難しそうになったのは、10代の時よね」


  「もう50年以上前の話しだね。
   あの時は、星明りを頼りに夢中で沢を下りたね。途中沢に水が出て来て歩くのが
   困難になったので、川を上がり、やっと村の明かりが見える獣道に出られた時は
   なんとも言えない安堵の気持ちになったね」


  「広い道路に出てからも、ただひたすら砂利道を歩いていたわよ。
   あの時は、手を繋がなかったわね。恥ずかしいから・・
   岩を下りる時は、しかたがない、手を引っ張ったり、お尻を押されたり
   足を支えたり体中さわったけど・・・」


  「夜道を松井田駅まで歩いたんだね。
   若かったんだね。 遠いとも思わないし、早く家に帰ろうとも思わなかった」


  「そうよね、あなたと歩いているだけで、体が熱くなってくるんだもね・・
   それが今でも続いているんだから・・・腐り縁ね」


  「幸せなんだから腐り縁と言うことはないだろう・・」


  「そうね・・あの時の幸せを今と比べたら・・桁違いね。
   だって、若い時のアツアツよりも今の方が、ずーっと幸せだものね
   幸せの質が違うのよ、きっと。
   年を取るにしたがって愛情は深くなってくるし、人の幸せも祈れるように
   なってくる。それから世間とのかかわりも広くなってきて報恩感謝の心も

   備わってくるから、当然、幸せな生活になってくるのね」


  「生きていく目的が解って来たからだろうね・・
   まだまだ、これからだけどね!」


  「あなた、風が寒いぐらいね・・・」

   


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Posted by きんちゃん at 20:10│Comments(0)ハイキング
 
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